2023.11.2 マニュアルの作り方

マニュアル作成『基本のき』5つのコツや手順、作成例やアプリ・ツールを徹底解説!

tebikiサポートチーム
執筆者:tebikiサポートチーム

製造/物流/サービス/小売業など、数々の現場で動画教育システムを導入してきたノウハウをご提供します。

マニュアルは、業務を効率よく進めるために必要不可欠と言っても過言ではありません。しかし、マニュアルを作成しても社内で活用されないという声を聞くケースもあります。現場で活用されるマニュアルを作成するためには、押さえるべきコツやポイントがあります。これらのポイントを抑えた上で、マニュアルを作成することが重要です。

今回の記事では、現場で活用されるマニュアル作成の方法について解説します。マニュアルを作成するコツや手順だけでなく、ツールについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

はじめての動画マニュアル作成ガイド

 

目次

1.作成前に押さえておきたいマニュアルの基礎知識

マニュアル作成をする前に、まずマニュアルについて基本的な理解を深めましょう。ここでは以下の内容について、それぞれ解説します。

  • マニュアルのメリット/デメリット
  • マニュアルの種類

 

マニュアルのメリット/デメリット

マニュアル作成にはメリットが大きい反面、デメリットも存在します。そこでここではマニュアルのメリットとデメリットを解説しましょう。

マニュアルのメリット

マニュアルには主に、以下のメリットがあります。

  • 一貫した作業の実現
  • 手順の理解が容易


マニュアルは作業手順を明確にし、現場の一貫した作業を実現できるため、現場改善の重要なツールと言えるでしょう。
例えば、新入社員が入社した際、マニュアルがあれば、新入社員は迅速に作業を学び、生産ラインにスムーズに入れることや業務標準化により不良品の発生を抑止する効果が見込めます。

また製造業の現場では、危険な機械や化学物質などがあり、これらを安全に扱うためには、正しい手順の理解が必要です。

その際に正しい手順を明確に記述したマニュアルがあることで、作業者が適切な手順を理解し作業が可能になり、事故を防ぐのに役立つでしょう。

マニュアルのデメリット

マニュアルには大きなメリットがある一方、作成に工数がかかるというデメリットもあります。

  • 時間とリソースが必要
  • 常に最新の状態に保つためには定期的な更新が必要


例えば、製造プロセスが変更された場合、マニュアルも合わせて更新する必要があります。特に高度化し続ける製造業では、
マニュアルに割く時間や人手が企業にとっての負担になることも考えなければいけません

また、マニュアルが過度に詳細であると、新人の作業者が理解し、業務に適用するのが難しくなる可能性もあります。そのため、マニュアルは画像や動画を使用したり誰でもわかる言葉を使用したりして、誰に対しても分かりやすいマニュアルを作成することが大切です

このデメリットを踏まえると、新入社員がとても少ない場合はマニュアル作成よりOJTが適切なケースも考えられます。OJTが良いか?マニュアル整備が良いか?その判断軸については、以下の記事で詳細に解説していますので判断にお悩みの方はこちらもご覧ください。

▼関連記事▼
OJT研修とマニュアル教育の違い:「マニュアル作るよりOJTの方が早い」は本当か

マニュアルの主な種類

マニュアルは内容や目的によって、次の4種類に分類されます。

  1. 操作マニュアル:業務システムなどを操作する際の手順が書かれているもの
  2. 業務マニュアル:ある業務全体の流れや、実際の手順が書かれているもの
  3. 教育マニュアル:社員の教育や訓練のために必要な情報が書かれているもの
  4. 規範マニュアル:企業理念に基づく社員の行動指針が書かれているもの


これらのマニュアルを作成する本来の目的は、「
教育する仕組みを作る」ことです。マニュアル作成が上手な人が意識しているポイントは、教育する仕組みが作れるように継続してマニュアルを更新する環境を整えている点です。

マニュアルを継続して更新する環境が構築できれば、マニュアルのメリットである業務品質の向上、生産性アップ、コスト削減というメリットが得られます。手順が決まっている、フローチャートで整理できる、ルーティンの業務は、積極的にマニュアル化を進めると良いでしょう。

マニュアルの基礎知識について、より詳細に知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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マニュアルの意味とは?わかりやすく作るコツと流れを解説

2.マニュアル作成『基本のき』わかりやすく作る8ステップ

ここまでマニュアルは「教育する仕組みを作るのが目的」であること、そのため使用者にとって「わかりやすく作る」ことが重要とお伝えしました。ここからは、実際にわかりやすいマニュアルを作る手順を8ステップに分けて解説していきます。

  1. マニュアル化する業務を洗い出す
  2. 利用するツール、フォーマットを決める
  3. 作成する担当者を決める
  4. 作成するスケジュールを計画する
  5. マニュアルの骨子を作成する
  6. 骨子を基に内容を肉付けしていく
  7. 社内で運用をする
  8. 改善を重ねていく

 

手順1:マニュアル化する業務を洗い出す

まずは「どのような業務をマニュアル化する必要があるのか」を検討します。業務の洗い出しを行うためには、以下のように業務を大まかなカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーでどのような業務があるのか、関係者で意見を出しあうことをおすすめします。

<役割、担当>
業務を担当する部署や担当者を軸に、マニュアル化が必要な業務がないか検討する

<時間軸>
月次で行う業務、特定の時期に行う業務のように、時間軸で業務を書き出す

<関係者>
社内、社外の関係者がどのような業務に関わっているか書き出し、業務に漏れがないか確認する

<業務特性>
ルーティーン業務、関連業務を考慮し、マニュアル化が必要な業務に漏れがないか確認する

このように、様々な角度から業務を洗い出すことで、マニュアル化が必要な業務を漏れなく抽出できます。

手順2:利用するツール、フォーマットを決める

マニュアル作成では、ツールやフォーマットは、マニュアルの使いやすさや情報の伝わりやすさに直結するため、どのツールを使用するか、またどのようなフォーマットで情報を整理するかを決めることも重要です。

例えば、クラウドベースのドキュメンテーションツールを使用すれば、チーム全体でリアルタイムにマニュアルの編集や更新が可能になり、情報の一貫性と最新性を保てます。

またフォーマットは、情報の種類や量、読み手のニーズに応じて、テキストベースの説明から図表やフローチャートまで多様な表現方法を取り入れることをおすすめします。

クラウドとExcelやWordを比較した場合のメリット/デメリットについては、以下の記事で解説していますのでこちらもご覧ください。

▼関連記事▼
マニュアルをクラウドに切り替える:Excel/Wordと比較したメリットとデメリット

手順3:作成する担当者を決める

マニュアルを作成する際は、「みんなで頑張る」ではなく作成する担当者を決めることが重要です。「みんなで頑張る」にしてしまうと、責任と権限の所在が明確になりません。そのため、誰が、どの作業を行うのか決めないままマニュアル作成を進めてしまい、チェック漏れや記載ミスといったトラブル、作成自体が中途半端になってしまうといったことが発生する可能性が高まります。

マニュアル作成を始める際は、まずは責任者自身がマニュアル作成の担当者になることがおすすめです。責任者がマニュアルを作ることで、チームに対して「マニュアル作成を始める」という意思表示を行なえます。さらに、マニュアルのサンプルができあがるため、他のチームメンバーが作成する際に作業しやすいというメリットもあります。

責任者が一部分でもマニュアルを作成した後は、チームメンバーに作成を段階的に任せれば、マニュアル作成がスムーズに進むでしょう。責任者自身がマニュアル作成を行えない場合は、代わりに作成する担当者を1人決めることをおすすめします。

まずは責任者自身が作ることが良い理由については、以下の記事で詳細に解説しています。

▼関連記事▼
業務マニュアル作成の最初の手順:「誰が作るか」作成者を決める

手順4:作成するスケジュールを計画する

マニュアルを作成する担当者が決まったら、作成を始める前にマニュアル作成のスケジュールを計画します。スケジュールを計画するに当たり、マニュアルのボリュームや利用できる人的リソース、金銭的なリソース、締切を確認しましょう。

新商品の販売マニュアルのように、明確な締め切りがある場合があります。このような場合は、締切日から逆算してスケジュールを計画し、締切に送れない計画を立てなければなりません。他部署や上司のチェックなど、予想外に時間が掛かることもあるため、余裕を持ったスケジュールを組むように注意しましょう。

手順5:マニュアルの骨子を作成する

5W1Hを用いて誰がいつ、どこで、どんな情報を知りたくて、なぜ、どのように現場でマニュアルが必要なのかを意識して、マニュアルの骨子を作成します。例えば、作業手順書であれば、作業手順や順序は必須項目となります。その他に記載するべき内容がないか検討し、マニュアルの骨子に盛り込むと良いでしょう。

マニュアル骨子の作成段階では、詳しく作業内容を書きすぎないように注意が必要です。後から変更が発生した場合に作業量が増えてしまいます。骨子では概要を記載する程度にとどめ、全体の流れが把握できるか、必要な情報が全て記載されているか、という点を重視して作成してください。

さらに、注意点も洗い出すことが重要で、明記すれば、作業者がミスを防ぐためのガイドラインを提供できます。例えば、特定の作業手順には安全上のリスクが伴う場合、リスクを避けるための具体的な行動指針を記載することが求められます。また、作業の効率化のためのヒントや、作業者がよく疑問に思う点についての説明も、マニュアルの有用性を高める要素と言えるでしょう。

手順6:骨子を基に内容を肉付けしていく

マニュアルの骨子が整った段階で、内容を詳しく記載し肉付けしていきます。業務の洗い出しと骨子の作成が適切にできていれば、作業内容の詳細を記入するだけで完了します。必要な業務手順が抜けていたり、作業手順に誤りがあったりした場合は、前のステップに戻り内容の追加や変更を行いましょう。

マニュアルの肉付けを行う際は、マニュアル作成のコツで紹介した「使う側の視点で内容や言葉を考える」ことが重要です。使う側の視点に立っているつもりでも、専門的な単語を用いたり、知識がある前提で説明したりすることがあります。マニュアルを使う側の視点に立ちマニュアルを作成することで、利用者のニーズにあった活用されるマニュアルになります。

手順7:社内で運用をする

マニュアル骨子への肉付けが終われば、社内に共有しましょう。マニュアルを現場で活用してもらい、利用者から使い勝手や改善点などのフィードバックをもらうことが目的です。利用者がいつでもマニュアルを閲覧できるようにマニュアルの保存場所を明確にし、マニュアルの運用担当者を明確に決めることで、スムーズに社内で運用できます。

マニュアル作成のコツとして、最初から完成度の高いマニュアルを作成しようとしないことが重要です。まずは簡単な内容で構わないのでマニュアルを公開し、社内の意見を集めましょう。

詳しい運用方法については「マニュアル運用のポイント」で後述します。

手順8:改善を重ねていく

マニュアルを社内に公開し集めた意見を元に、マニュアルの改善を重ねることが最も重要なポイントです。マニュアルを作成する本来の目的は、「教育する仕組みを作る」ことです。マニュアルの内容が更新されていなければ、マニュアルを作成しても活用されず、社員教育が適切に行われなくなるリスクがあります。

継続的に更新を行うために、次のようにマニュアルを更新するルールを決めておくことをおすすめします。

  • マニュアルを使用した際に感じた改善点があれば、必ず変更する
  • 更新しやすいフォーマットで、マニュアルを作成する
  • 1ヶ月に1回関係者で集まり変更箇所を検討し、内容を更新する
  • マニュアル更新時に社内の関係者に告知し、活用事例を増やす

マニュアルは作成して終わりではなく、更新し続けなければ内容が古くなり使われなくなってしまいます。そのため、継続的にマニュアルが更新できる環境を整え、改善を重ねることが重要です。

内容を改善し続けるために重要な意識や仕組みについては、以下の記事で詳細に解説していますので併せてご覧ください。

▼関連記事▼
業務マニュアルの目的と作り方:内容を改善し続けるためには

3.マニュアル作成でよくある5つの失敗

ここまで、わかりやすいマニュアルを作るために必要な8ステップを解説しました。しかし、いざ作ってみると「思っていたものと違う…」という状況になるのも少なくありません。ここでは作成時によくある失敗例を5つご紹介しますので、作成前に把握することで失敗を予防していきましょう

  • 読みにくい、伝わらない
  • マニュアルがあることを知らない
  • マニュアルが見つからない
  • マニュアルの情報が古い
  • スケジュールを立てていない

 

失敗その1:読みにくい、伝わらない

マニュアルは情報を明確に伝えるためのツールであり、その内容が抽象的であったり、要点が分かりにくかったりすると、目的を果たせません。

例えば、製造ラインの操作手順を記述したマニュアルが、専門用語を多用したり、視覚的な補助(図表や写真)が不足していたりすると、新人や異なる部署からの人間が理解するのが難しくなるでしょう。

また、情報が過剰に詰め込まれていると、読み手は何が重要なのかを見失い、結果としてマニュアルの有効活用ができません。そのため、マニュアル作成時には、情報の整理と視覚的な工夫を心がけ、読み手の立場に立って考えることが重要です。

その他、読み手の立場で考えて伝わるマニュアルを作るポイントは以下の記事で詳細に解説しています。

▼関連記事▼
伝わるマニュアルの作り方:すぐに実践できる4つのポイント

失敗その2:マニュアルがあることを知らない

マニュアルが共有されていなければ、読み手がいないため、価値がありません。

例えば、新たな機械の操作マニュアルが作成されたとしても、社内の関連部署やスタッフに伝わっていなければ、機械を効率よく使用するための知識は広まらないでしょう。

マニュアルの存在を知らせ、アクセスしやすい場所に保管することで、マニュアルの有効活用が可能となります。また、新しいマニュアルが作成・修正された際には、社内でのアナウンスを行うなど、情報の共有に努めることも重要です。

失敗その3:マニュアルが見つからない

必要なときにマニュアルがないと、対応が遅れたり、不適切な対応になったりするため、マニュアルは必要な時にすぐに参照できることが大切です。

例えば、製造ラインで突然のトラブルが発生した時、迅速に対処するためのマニュアルがすぐに見つからなければ、生産効率に影響を及ぼす可能性があるでしょう。

マニュアルの保管場所は明確にし、必要なマニュアルがすぐに見つけられるような体制を整えることが求められます。また、マニュアルをデジタル化してクラウドで管理することによって、必要な情報を素早く見つけ出すことが可能となるので、デジタル化/クラウド管理をおすすめします。

失敗その4:マニュアルの情報が古い

マニュアルは最新の情報を反映していることが求められます。なぜなら、最新の情報でない場合、対応が不適切になる場合があるからです。

例えば、製造プロセスが改善された場合や新たな機械が導入された場合、情報がマニュアルに反映されていなければ、マニュアルは現場の実情を正確に反映していないと言えます。結果、マニュアルが提供する情報の信頼性を損なうだけでなく、現場の作業効率や安全性にも影響を及ぼす可能性があります。

マニュアルの更新は定期的に行うべきであり、更新のための体制やルール作りも重要です。

失敗その5:作成のスケジュールを立てていない

マニュアル作成は時間と労力を必要とする作業であり、スケジュールを立てずに進めてしまうと、完成までの時間が長引いたり、他の業務に影響したりする可能性があります。

例えば、新製品の製造ラインが始まる前に操作マニュアルを完成させる必要がある場合、スケジュールを立てて各工程の進行状況を管理することで、期日までにマニュアルを完成させることが可能となります。

また、スケジュールを立てれば、マニュアル作成に必要なリソース、例えば人員、時間、費用などを適切に配分することも可能です。マニュアル作成は一度に完璧にする必要はなく、まずは必要最低限の情報をまとめ、それを基に改善・更新を重ねていくという方法もおすすめです。

4.わかりやすい伝わるマニュアルを作る5つのコツ

ここまで解説してきたように、現場でマニュアルが活用されるかどうかは、「わかりやすさ」「伝わりやすさ」が成功を左右する重要なポイントです。

ここからは現場でしっかりと活用される、わかりやすいマニュアルを作るためのコツについて解説します。

完璧を目指しすぎない

マニュアル作成がうまくいかない理由の1つとして「完璧を目指してしまう」という点が挙げられます。最初から完成度の高いマニュアルを作成しようとすると、細かい言葉にこだわったり、マニュアルの内容をチームで長時間話し合ったりして、マニュアルの完成が遅くなる場合があります。

このようにマニュアル作成に時間を掛けすぎるよりも、まずは簡単な内容で構わないのでマニュアルを作成することをおすすめします。利用者の意見を集めて、その意見を元にマニュアルを改善するほうが、結果として早い時間で完成度の高いマニュアルを作ることができるでしょう。

一方で従業員の安全に関することなど、時間をかけて作りこむ価値のある内容もあるためメリハリを持って作成することが大切です。

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新人教育マニュアルの作り込みすぎに注意!「相手に伝わるか」で作成時間を決める

使う側の視点で内容や言葉を考える

マニュアルを作成する側の人は、マニュアルを使う側の人よりも知識や経験が豊富であることが一般的です。そのため、使う側の視点に立っているつもりでも、専門的な単語を用いたり、知識がある前提で説明したりすることがあります

例えば、新人社員の教育に用いるマニュアルの場合、「この内容は教える必要はない」とマニュアルには掲載していなかった内容に対して、新入社員から「この内容が載っていないので、わかりにくい」という意見が届く場合があります。

また、「これくらいは社会人だから知っているだろう」と考えて、詳しい解説を行わずにマニュアルに載せていた単語を新入社員が全く知らない場合もあります。

このように、マニュアルの内容や使う言葉は、使う側の視点で考えることが重要です。教わる側の意見を聞きながらマニュアルを作成したほうが、利用者のニーズを満たした活用されるマニュアルになる可能性は高まります。

文字だけで説明しない

文字ばかりのマニュアルは、「読みづらい」という印象を読み手に与えるだけでなく、マニュアルの内容が理解されにくいという悪影響があります。そのため、マニュアルには画像やイラスト、図を用いるか、もしくは動画化して、視覚的に理解できるように工夫することで、読みやすく、わかりやすいマニュアルを作成できるようになります。

特に、接客マニュアルや製造マニュアルのように、人や物が動く様子を表す内容であれば、写真や動画を用いることをおすすめします。また、物理的な動きや言葉のニュアンスを伝えるためには、文字と写真だけでは十分に伝えられない可能性があります。そのため、動きや流れを伝えるためには、マニュアルに動画を用いるほうが内容をわかりやすく伝えられるでしょう。

このように、マニュアルを作成する際は、文字だけでなく画像や動画も活用することをおすすめします。読み手に「わかりやすい」という印象を与えられるだけでなく、視覚的に理解しやすくなる点は、大きなメリットです。

パッと見で内容がわかる見出しにする

マニュアルを利用する際は、どこに必要な情報が載っているのか、すぐにわかることが重要です。そのためには、すぐに内容がわかる見出しにする必要があります。

例えば、「製品Aの製造マニュアル」を作成する場合、見出しを「作業1、作業2、作業3…」と記載すると、どのような作業内容なのか見出しを見ただけでは理解できません。一方、見出しを「1. 部材準備、2. 素材検査、3. 加工...」と記載すれば、それぞれの見出しの作業内容がわかるだけでなく、全体の流れを把握できるというメリットがあります。

さらに、次のように小見出しも活用することで、より詳しい情報を読み手に伝えられます。

例)製品A 製造マニュアル

  1. 部材準備
    • 仕様確認
    • 部材加工
  2. 素材検査
    • 素材確認
    • 素材検査
  3. 加工
    • 治具準備
    • 部材準備
    • 加工
    • 後段取り


このように、パッと見で内容がわかる見出しにすることで、どこに探している情報が載っているか読み手はすぐに発見できます。現場で役立つマニュアルを作成するためには、重要なポイントです。

5W1Hで内容を整理する

マニュアルに必要な情報の漏れがないように、内容を整理することは重要です。内容を整理するにあたり、5W1Hで使用場面を想定してマニュアルに記載するべき内容を書き出すことで、内容の充実したマニュアルを作成できます。

5W1Hとは、以下の英単語の頭文字を取ったものです。伝えたい内容を5W1Hに沿って構成すると、情報を整理しやすいという特徴があります。

  • Who(誰が)
  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どうやって)


マニュアルの構成を検討する際は、以下のように5W1Hを活用して内容を検討すれば、マニュアルに記載するべき情報を漏れなく洗い出せるでしょう。

  • 誰がマニュアルを使うのか?
  • いつ、どこで、どんな情報を知りたくて、マニュアルを参照するのか?
  • なぜマニュアルが必要なのか?
  • マニュアルは、どのように現場で活用されるのか?

このように、5W1Hでマニュアルの内容を整理することで、必要な情報を漏らさずに載せられます。

5.マニュアルが使われ続けるために必要な4つの運用ポイント

作成したマニュアルが形骸化せずに、現場で使い続けられるためには仕組み化が必要不可欠です。ここからは、マニュアルを運用するポイントを4つ解説します。

  • 管理者を決める
  • 現場の意見を取り入れて改善
  • 検索しやすい仕組みを作る
  • チェックリストを作成

 

管理者を決める

管理者はマニュアルの内容を定期的に確認し、必要に応じて修正を呼びかける役割を果たすため、マニュアルの運用で管理者を決めることは重要なポイントです。

管理者がいることで、マニュアルが古くなることを防ぎ、常に最新の情報が共有できます。

しかし、管理者が一人だけでは負担が偏る可能性があるため、チームや部署単位で管理者を決めることをおすすめします。

現場の意見を取り入れて改善

マニュアルを活用するためには、現場の意見を取り入れて改善することが重要です。なぜなら、現場の従業員がマニュアルを使いやすく感じるかどうかは、マニュアルの有効性を大きく左右するからです。

定期的なヒアリングを通じて、マニュアルの内容や表現が分かりづらい点があれば改善し、常に使いやすいマニュアルを目指すべきでしょう。

検索しやすい仕組みを作る

マニュアルを誰でもすぐに見つけられるように、タイトルやフォルダ名などを工夫することも必要でしょう。必要な情報を素早く見つけられることは、業務の効率化に直結するからです。

製品のマニュアルの場合、製品にQRコードを表示して必要な時にすぐに見られるようにするなどの工夫も有効です。QRコードの作り方については、以下の記事をご参照ください。

▼関連記事▼
QRコード作成ツールでQRコードを作成!URLを簡単に共有する方法
Google ChromeでサイトのURLをQRコードにする

チェックリストを作成

チェックリストがあることで、どのようなステップが必要であるか、何を達成すべきかが視覚的にわかりやすくなるため、目標に向かってマニュアルの運用も具体的に進めることが可能になります

また、チェックリストを使うことで効率的に作業を計画し、時間を節約することや、重要な手順やタスクを忘れるリスクを減らすのに非常に有効なため作業の漏れやミスも防げるでしょう。

6.無料で利用できる?マニュアルを作成するツールやアプリ

マニュアル作成に利用するツールには、ワード、エクセル、パワーポイントといったオフィス系のソフトと、クラウドサービスがあります。これらのツールの特徴について説明し、メリットやデメリットに関して解説します。

ワード(Word)

ワードは、見出しや目次を設定すれば、見やすいマニュアルを作成できます。図や画像を挿入できるため、業務内容をわかりやすく伝えられるというメリットもあります。使い始めるハードルが低いという点もワードが広く用いられる理由の一つだと言えるでしょう。

しかし、次のようなデメリットがある点には注意が必要です。

  • 共有に手間がかかる
  • スマートフォンやタブレットでは見づらい
  • ファイルの管理が適切に行われない
  • ページの制約がある

このようなデメリットがあるため、ワードを用いてマニュアルを作成する場合は注意してください。

エクセル(Excel)

エクセルには、ページの制約がありません。この点は、ページという制約があるワードやパワーポイントとは大きく異なる点です。画像やグラフの挿入ができる、使い始めるハードルが低い点も、エクセルのメリットとして挙げられます。

しかし、エクセルにはデメリットも存在します。

  • 共有に手間がかかる
  • スマートフォンやタブレットでは見づらい
  • ファイルの管理が適切に行われない
  • 印刷に手間がかかる

このようなデメリットがあるため、エクセルを用いてマニュアルを作成する際には注意が必要です。

パワーポイント

パワーポイントは、写真、グラフ、動画といった視覚的にわかりやすい情報を入れられるという特徴があります。また、ページの順番の入れ替えが簡単に行える点もメリットです。

しかし、以下のようなデメリットがある点に注意が必要です。

  • 共有に手間がかかる
  • スマートフォンやタブレットでは見づらい
  • ファイルの管理が適切に行われない
  • まとまった文章を記載するには向いていない
  • デザイン、レイアウトの調整が必要
  • ファイルサイズが大きくなりやすい

パワーポイントには、デザイン面でワードやエクセルには無いメリットがあります。しかし、上記のようなデメリットもあるため、マニュアル作成に利用する際は注意する必要があります。

パワーポイントを活用して動画のマニュアルを作る方法は、以下の記事で実際の動画を交えて詳細に解説していますので、併せてご覧ください。

▼関連記事▼
パワーポイントやGoogleスライドを動画マニュアル化する方法と手順

クラウドサービス

マニュアルを作成する際は、ワード、エクセル、パワーポイントを用いて作成するケースが多いでしょう。しかし、これらのソフトでマニュアルを作成し運用する際には、次のような問題点が発生します。

  • スマートフォンやタブレットで見づらい
  • 共同編集をやりにくい
  • 旧版の回収、新版の配布に手間がかかる
  • ファイルの保存場所がわからなくなる
  • 社員の退職、移動時に、元のファイルを紛失してしまう
  • マニュアルの運用ルールが定まっていないと、使われなくなってしまう

この中でも、マニュアルの運用ルールを決めることは、社内での活用を考える際に避けては通れないポイントです。次の項目を社内ルールとして決めておかなければ、マニュアルが適切に更新されない、社内に案内されないといった問題が発生します。

  • マニュアル書式の統一
  • 部門、担当者のアクセス権限の設定
  • マニュアル更新時に、社内へ案内する手順

このようなマニュアルの運用ルールを決め、必要に応じて見直さなければ、マニュアルが社内で使われなくなってしまう可能性があります。

一方、クラウドサービスのマニュアルであれば、ワード、エクセル、パワーポイントを用いて作成したマニュアルでのデメリットを解消できます。クラウドサービスを活用してマニュアルを作成するメリットは、以下のとおりです。

  • いつでも、どこでも利用できる
  • スマートフォンやタブレットでも閲覧しやすい
  • 動画を用いたマニュアルを作成しやすい
  • 共同編集が可能
  • 常に最新版が公開されている
  • マニュアルのデータは、常にクラウドのサーバー上に保存されている
  • マニュアルを運用する上で必要な取り決めは、ほぼ完了している

この中でも、最新版の内容が常に公開されており、動画を用いたマニュアルを作成しやすい点は、クラウドサービスのマニュアルの大きなメリットだと言えるでしょう。

クラウドサービスとWord等を比較した場合の具体的なメリット/デメリットについては、以下の記事でも解説していますのでこちらもご覧ください。

▼関連記事▼
マニュアルをクラウドに切り替える:Excel/Wordと比較したメリットとデメリット

7.マニュアルを動画化するメリットと実用例

ここまでマニュアル作成にあたりさまざまな手順やコツをお伝えしてきましたが、ご覧の方のなかには「マニュアル作成にはやっぱり手間がかかりそう…」と感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、手間を省きつつも現場で伝わるわかりやすいマニュアルを作成する方法として、動画の活用も検討することをおすすめします

マニュアル化の対象となる業務が、人や物が動く業務であれば、その動きをマニュアルで再現する必要があります。文章や画像では動きを再現することが難しいため、動画が効果的だと言えます。

マニュアルを動画化するメリット

マニュアルを動画化するメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 文字/写真で伝わらない「動き」を視覚的に伝えられる
  • 学習者が自分のペースで学べる

まず、動画化されたマニュアルは視覚的な情報を伝える力が文書よりも強いため、業務の理解を深められるというメリットがあります。製造業の現場では、機械の操作方法や製品の組み立て方など、視覚的に理解することが重要な場面が多いでしょう。そこで動画マニュアルは、文字だけのマニュアルでは伝えきれない微細な動きや、操作の流れを視覚的に捉えられます。

さらに、動画マニュアルは学習者が自分のペースで学べるというメリットもあります。一度に多くの情報を処理するのは難しいですが、動画なら一時停止したり、巻き戻したりすることで、自分の理解度に合わせて学習を進められるでしょう。

動画マニュアルの具体的なメリットは以下の記事で詳細に解説していますので、併せてご覧ください。

▼関連記事▼
動画マニュアルの作成手順と15つのコツ、メリットとデメリットまで徹底解説

マニュアルを動画で作成するのは難しい?

「マニュアルを動画で作成する」と聞くと、難しく手間がかかるイメージを持つかもしれません。しかし、動画のマニュアルは1分程度の短いもので十分です。

なぜなら、長い動画は誰も見てくれないからです。業務の合間や集合研修中であっても、長い動画は見てもらえません。長い時間の動画は業務のすきま時間に見ることはできず、集合研修で見せても集中して見てもらえません。

さらに、長い動画を作成するには、編集作業に手間がかかるというデメリットがあります。そのため、長い動画はマニュアルを作る側、利用する側、双方にとってメリットがないと言えるでしょう。

動画1本の長さを1分から2分程度にとどめれば、業務の合間に空き時間ができれば動画を見ることができます。集合研修に使用する場合でも、1分から2分であれば集中して見てもらえるでしょう。マニュアル化する対象の業務内容が多いため1分から2分で収まらない場合は、対象となる業務のステップを細かく分けて、ステップごとに短い動画を作成することをおすすめします。

このように、1分から2分程度の短い動画を作成するなら、マニュアル作成の手間を大幅に削減できます。短い動画を作成するメリットをまとめると、以下のとおりです。

  • 撮影を簡単に行える
  • 部分的な修正が簡単に行える
  • 短い動画を組み合わせて、様々な切り口で活用できる
  • 見たい部分だけを見れる
  • 一連の流れを通してみることもできる

マニュアル化する業務内容により適切な動画の時間は異なりますが、動画は1分程度の短いものを作成することをおすすめします。

ここまでのお話を通して「動画マニュアルを作ってみたい!」という方向けに、具体的な作り方を解説している記事や資料をご用意していますので、ぜひこちらもご活用ください。

▼関連記事▼
失敗しない動画マニュアルを誰でも簡単に作成する6つのポイント、作成手順や活用事例集


8.実際にマニュアルを動画化している企業事例

ここまでマニュアルを動画化するメリットについてお伝えしました。ここからは実際に動画化したことで、作成の効率化以外にもさまざまな成果を出している企業事例をご紹介します。同じ悩みを抱えた事例があれば、ぜひ参考にしてください。

下記以外にも多数の事例を解説している記事がございますので、併せてご覧ください。

▼関連記事▼
実際に企業で使われている動画マニュアルの事例・サンプルを多数ご紹介

児玉化学工業株式会社

 

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児玉化学工業株式会社は住宅設備・自動車向け合成樹脂加工や産業機器の製造などを行っている会社です。同社では部品を製造するための要領書を文字/写真ベースのマニュアルで作成していましたが、要領書の数が500を超え新規作成や更新に膨大な工数がかかっていました。

また外国人従業員も多く抱えていたことで、文字/写真ベースのマニュアルの内容が伝わらずに製品の品質不良にもつながっていたという課題がありました。

紙マニュアルでは理解に限界を感じ、動画でビジュアル的に人の動きやコツを伝えていこうという取り組みの一環で、かんたんに動画マニュアルを作成できる現場教育システム『tebiki』を導入しました。

マニュアルを動画化したことによって作成工数を従来の1/3まで削減しただけではなく、従業員に対する「伝わりやすさ」も向上したことによって、作業不順守が9割減り品質不良も改善しています

▼具体的な事例記事はこちら▼
手順書作成の工数は紙の1/3になったと思います。動画で作るのはかんたんだし、学ぶ側にもわかりやすいですよね。

サラヤ株式会社

サラヤ株式会社は消毒剤のトップシェアメーカーで、洗浄剤や医薬品、食品等も製造する化学・日用品メーカーです。同社では、作業マニュアルにあたる製造の標準作業手順書を文字/写真ベースの紙マニュアルで作成していました。しかし数が増えてくるにつれ管理面で大きな課題を抱え、マニュアルに含まれていない口頭ベースで伝えている作業もあったことから、作業手順が人によってバラつくことで品質にも影響を及ぼしていました。

そこで、文字/写真ベースでは伝わりにくかったニュアンスを動画で視覚的に伝えるために現場教育システム『tebiki』を導入しています。tebikiの動画編集が容易なことから、導入半年で400個を超えるマニュアルを整備することを実現しています

また動画を作成するにあたって、必然的に業務フローを見直す場面が発生するようになったことで、作業手順が改善されて業務効率化にもつながっています。

▼具体的な事例記事はこちら▼
消毒剤のトップシェアメーカーでtebikiを活用。半年で400動画作成!世界の「衛生・環境・健康」に貢献!

株式会社いなげや

株式会社いなげやは一都三県を中心に、133店舗を展開している地域密着型の食品スーパーです。レジ対応など、各店舗で新人トレーニングを実施する必要があったものの教育担当者が定常業務に追われ、トレーニングに割く時間を捻出できない課題がありました。

文字/写真ベースの紙マニュアルはあったものの、ページ数が膨大で「ちょっと見ておいて」と新人に渡すには負担が大きい状況になっていました。また文章で表現しようとすると、どうしても堅い表現になり実態と乖離が起き、動作が伝わりにくいことも課題になっていました。

そこで動作を視覚的に伝えられる動画の導入を『tebiki』を活用して推進していきました。その結果、「動画を見ておいて」とトレーニング工数削減を実現しています。また使用者視点では、何度も繰り返し同じ内容を見れることによって、分からない部分を自身で解消できるようになりました

▼具体的な事例記事はこちら▼
133店舗ある小売業の現場で動画を活用。スピーディな店舗教育を実現し、地域に愛されるスーパーであり続ける。

ここまでご紹介した動画活用事例は、いずれも現場教育システム『tebiki』を活用した事例です。tebikiは普段の作業風景やOJTをスマートフォンで撮影し、撮影データをtebiki上で簡単に編集することが可能なクラウドサービスです。


作成した動画マニュアルはtebiki上で一元管理、内容の習熟度チェックなど教育に必要な機能を一気通貫で活用することが可能です。

9.まとめ

今回の記事では、マニュアル作成のコツや手順、ツールについて解説しました。

マニュアルを作成する本来の目的は、「教育する仕組みを作る」ことです。現場でしっかりと活用される、完成度の高いマニュアルを作るためには、本記事で解説したコツや手順を参考に作成することが重要です。

また、マニュアルを作成する際に動画も活用することで、文字や画像だけでは伝えきれない情報も伝えることが可能になります。1分から2分程度の短い動画を作成するなら、作成の手間を大幅に削減できます。

業務内容を、わかりやすく伝えられるだけでなく、短時間で理解できる動画を活用し、現場で活用されるマニュアルを作成してはいかがでしょうか。

現場教育システム『tebiki』では、スマートフォンで動画を撮影し、誰でもできる簡単な編集機能でわかりやすく伝えることができます。また、レポート機能でどの担当者や部門が閲覧しているか、テスト機能でどれほど定着しているかなど、活用状況を可視化することができます。

クラウド動画教育システムtebiki

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カテゴリー: マニュアルの作り方