初めての仕事であっても、わかりやすいマニュアルがあればスムーズに取り組めます。わかりやすいマニュアルを整備することで、新人からの質問や問い合わせの数も減り、お互いの時間や手間を使わずに初めての業務でも効率的に進められます。
この記事では、「わかりやすいマニュアルを作るにはどうしたら良い?」とお悩みの人に、わかりやすいマニュアル作成のポイントを解説します。他にも、作成手順や構成、レイアウト、マニュアル見本やおすすめのツールなども紹介。「マニュアルに向いているのはエクセル?パワポ?」「マニュアル作りが上手な人はどんな人?」などの疑問にもお答えしています。
また、わかりやすいマニュアルを作りたいなら、業務の流れが視覚的に分かる「動画マニュアル」がおすすめです。動画マニュアルの活用により、どれほど効果的かつ効率的に教育を行えるかは以下のマンガをご覧ください。
目次
わかりやすいマニュアルを作成するために、以下の5つのポイントを意識してください。
「ありがちな失敗例」も交えて、1ずつ詳しく解説します。
マニュアル作成は大変な仕事の1つ。作成工数がかかり、通常業務の時間を圧迫する可能性が高いため、「マニュアル作りはめんどくさい……」と敬遠する人も少なくないでしょう。そのため、最初は責任者が主導してマニュアルを作成し、だんだんとチーム/部署一丸となって作成を進行するのがおすすめです。
「簡単に責任者を決められたら苦労しない」と感じるかもしれませんが、社内評価と連動させる/取り組み状況を社内周知し「○○さん凄いね!」と周囲に声をかけられるような環境を整えるなど、責任者が前向きになれるような状況を作り上げることが大切です。
また、既存マニュアルの課題が明らかになっている場合は、問題点を整理した上で「○○をしたら確実に良くなる(成功できる)」というメッセージを出し、取り組みに対する心理的ハードルを下げることもおすすめです。
マニュアルの作成者については、以下の記事でも詳しく解説しています。責任者に向いている人の特徴なども紹介しているので、チェックしてください。
▼関連記事▼
業務マニュアル作成の最初の手順:「誰が作るか」作成者を決める
マニュアル作りは、業務と並行して行われることが多いです。そのため、業務が忙しくなるとマニュアル作りが進みにくくなります。業務の繁忙を見越した上で、無理のないスケジュールを立てると、マニュアル作りに気持ちの余裕を持てるため、わかりやすいマニュアルを作れます。
「スケジュール重視の結果、マニュアルの質が悪くなったら意味がない」と感じるかもしれませんが、後述の【ポイント5:最初から完璧を目指さない】も意識することで、「運用⇒改善」のサイクルを重ねて徐々に質を高めていけば問題ないでしょう。
いきなり書き始めると要点が欠落する可能性があるため、あらかじめ要点をまとめましょう。そうすることで、マニュアルに含めるべき情報を明確化でき、わかりやすいマニュアルが完成します。
また、要点をまとめた後に作成すると、執筆の効率化にもつながります。必要な情報が明確になっているため、マニュアルの文章をまとめる時間が短縮され、効率的にマニュアル整備できるでしょう。
マニュアルには、必要な情報を盛り込んだ方が良いものの、文字が多すぎるとわかりづらい/読みづらいマニュアルになります。文字数を減らす工夫としては、以下のことを試してみましょう。
1度作成したマニュアルをそのまま使い続けるのではなく、変更や修正すべき点が見つかればマニュアルの更新が必要です。できるだけ修正箇所がない完璧なものを作りたい、と意識するのは良いことですが、実際に仕事をするときにわかりやすい内容かが重要です。粗削りでも作成し、現場で使ってみて改善/更新を重ねたマニュアルこそ、わかりやすいマニュアルとなります。
ここでは、わかりやすいマニュアルの作成手順を、「作成前」と「作成中」のそれぞれ4つのステップに分けて説明します。
以下の記事では、マニュアル作成における基本を紹介しています。マニュアルの作成経験がそれほどない方は、併せてご覧ください。
▼関連記事▼
マニュアル作成『基本のき』5つのコツや手順、作成例やアプリ・ツールを徹底解説!
マニュアル化したい業務を挙げ、優先度に沿って選びます。1つのマニュアルでどこまで説明するのか、対象業務範囲を決め、業務の目的や流れなども確認しましょう。
マニュアル作成に使うツールは、最終的なフォーマットから考えます。たとえば「フォーマットはPDFファイルとするので、ツールはWordやExcelを使う」といったように、業務を行う際に閲覧しやすいフォーマットを選ぶと良いでしょう。
作成工数を削減しながらも、わかりやすいマニュアルを作成したい場合は「動画マニュアル」がおすすめです。動画マニュアルについては後述の『作業手順などの動きをわかりやすく伝えるには?』で詳しく解説します。
先述のわかりやすいマニュアル作成の5つのポイントの中で『【ポイント1】マニュアル作成の責任者を決める』でもご説明した通り、作成の責任者や担当者を決めましょう。
マニュアルは担当者が作成した後、内容のチェック/修正/共有/更新タイミングの策定といった作業があります。それぞれに何人が関わり何日くらいかかるかを考え、業務の繁忙も考慮しながら計画を立てましょう。
マニュアルの構成を決め、見出しも考えます。例えば「業務の概要」「流れ」「手順」「注意点」という構成にして、それぞれの項目内に見出しを入れていく、といった具合です。
作成した構成と見出しに、内容を入れていきます。わかりやすいマニュアルになるよう、写真や動画、図や表などが必要であればこの段階で挿入します。担当者がマニュアルを完成させたら、他の人が内容をチェックし、必要があれば修正して完成となります。
完成後のマニュアルの運用(どのように共有するか/更新タイミングはいつにするか/誰が更新作業を行うか)を決めておきましょう。
業務の変更点や表記の改善点が出てきたら、その都度もしくは決まったタイミングで見直し、更新します。この改善を続けていくことで、よりわかりやすいマニュアルになります。
わかりやすいマニュアルは、わかりやすい構成になっています。読み手が情報を受け取りやすい順番にすると、頭に入りやすく内容を理解しやすくなります。ここでは、情報が頭に入りやすいマニュアルの構成をご紹介します。
マニュアルの本文に入る前に序文を入れます。序文では、以下を説明すると良いでしょう。
解説する業務の概要や、必要な道具/利用ソフトなどを記載しましょう。概要説明をすることで、初めて業務を行う人でもスムーズに進行できます。
業務の流れと具体的な手順を説明します。手順は製品ごとに分けたり、日次の作業・月次の作業と時期で分けたりするなど、業務内容次第で分け方を工夫して説明すると良いでしょう。
手順を箇条書きにしたり、写真や図表を挿入したりするとわかりやすくなります。
起こりうるトラブルやエラーとその対処法について説明します。トラブルシューティングのセクションがあると、問題に直面した際、迅速に対処できます。また、作業の中断を最小限に抑えられるというメリットも考えられます。
よく聞かれる質問や補足説明をしたい事項を記載します。更新の度に追加するとノウハウを貯められます。また、質疑応答の時間の削減にもつながるでしょう。
業務を行う際参考にすると良い図表や資料の保存場所やリンクを記載します。例えば、必要なシステムの操作マニュアル/トラブルが発生した際の連絡先などがあるとよいでしょう。
マニュアルの本文中に出てきた用語やよく耳にする用語についての解説、参照ページを記載します。専門用語やよく使われる略語については必ず解説しましょう。
わかりやすいマニュアルは、説明がわかりやすいとともに見た目もわかりやすいものです。パッと見ただけでどこに何が書いてあるのかが掴めるようになっています。
おしゃれなデザインである必要はなく、一瞬で内容を把握できるデザインがベストです。ここでは、わかりやすいマニュアルにするためのレイアウトやデザインのポイントをご紹介します。
読み手の視線の動きを考え、その流れをさえぎらない段落配置にすると読みやすくなります。例えば、以下のように配置するのがおすすめです。
文字や図表、写真をページいっぱいに詰め込むと読み手は読み疲れてしまいます。まずページの周囲は余白をほどよく取り、文字列は改行し、写真は隣の写真との間隔を空けるようにして、余白を作り出しましょう。
見出しと本文の文字の大きさが同じだったり、漢字ばかり/ひらがなばかりに偏っていたりすると読みづらいものです。文字の大きさや太さを変え、漢字とひらがなを混ぜるなど適度に変化をつけると読みやすくなります。
デザインに凝りすぎると、果てしなく作成時間がかかるため、注意が必要です。
文字の色やフォントを何種類も使ったり、デザイン性の高いレイアウトにしたりと、デザインを工夫すると作成にも確認にも時間がかかります。マニュアルの目的は、おしゃれなデザインを作ることではありません。読み手のことを考えて、シンプルかつ見やすいものを心がけましょう。
次の記事では、マニュアル作りにどれほどの時間をかけるかを考えるヒントをご紹介しています。
▼関連記事▼
新人教育マニュアルの作り込みすぎに注意!「相手に伝わるか」で作成時間を決める
わかりやすいマニュアルの一例として、飲食店の接客マニュアルの構成をご紹介します。
最初は上のマニュアル見本のように簡単なもので構いません。わかりやすくするためには、これまでご紹介したことを参考に、「まずは作ってみる」ことから始めてみましょう。
読み手にとってわかりやすいマニュアルを作るツールは、紙/電子ファイル/動画など使用するフォーマットによって変わります。ここでは、ツールを選ぶヒントをご紹介します。
どのようにマニュアルを閲覧するかによって、フォーマットとツールを選びましょう。
たとえば、紙で文字ベースのマニュアルを閲覧するなら、WordやExcelなどのツールで作成して印刷します。パソコンやタブレット、スマートフォンなどで動画によるマニュアルを閲覧するなら、動画編集ソフトや動画マニュアルツールなどで作成することになります。
ツールによっては、作成の手間や管理の負担を軽減する機能/自動翻訳機能/字幕生成機能などがあります。使いたい機能が搭載されているかどうかチェックして、ツールを選びましょう。
とはいえ、機能が多すぎると、使いこなすのに時間がかかり、作成工数がかかってしまいかねません。自社のマニュアル作成に必要な機能を見極めて、選定することをおすすめします。
マニュアルの作成や共有に充てられる予算に合わせてツールを選ぶ視点も大切です。
たとえば業務でも使っているWordやPowerPointであれば、既にライセンス料を支払っているため、追加費用は生じません。他にもWebサイトから無料でダウンロードできるマニュアルテンプレートもあります。これらの場合はマニュアルのデータ保存先を確保する必要がありますが、低予算で作成可能です。
マニュアル作成ツールであれば、月額料金や年額料金を支払うことで、マニュアルの作成や共有、その後の管理やデータ保存先をすべて1つのツールで行い、サポートを受けながら体制をしっかり整えることができます。マニュアル作成ツールには文字だけのマニュアル/動画だけのマニュアル/双方のマニュアルを管理できるものなどさまざまな種類がありますので、料金とサービス内容を併せて検討すると良いでしょう。
動きのある業務をわかりやすく伝えるには、「動画」の活用がおすすめです。
かつてマニュアルは、紙に印刷されたものが主流でした。しかし、パソコン/タブレット端末/スマートフォンの普及により、短時間で伝えられる情報量が多い動画マニュアルを導入する企業が増えつつあります。
動画では、伝えたい作業内容に加え、周辺状況も画面に映し出せます。文書マニュアルの場合、数ページに渡るような内容でも、動画であれば数秒で見せることが可能です。とくに、機械/人/などの「動き」がある場合は、動画が最もわかりやすく伝えられるでしょう。
読み手にわかりやすいだけでなく、動画であればマニュアル作成者は「撮るだけ」ですので、動画マニュアルは作り手にもメリットがあるマニュアルと言えます。
動画マニュアルを作成するツールにはさまざまな種類がありますが、読み手にも作り手にもわかりやすい動画マニュアルを作るツールとして「tebiki」をご紹介します。
▼動画マニュアル作成ツール「tebiki」紹介動画▼
動画マニュアルtebikiでは、以下の手順だけで簡単に動画の作成が可能です。
音声の自動認識による字幕生成/自動翻訳機能/字幕読み上げ機能などの機能が搭載されており、初めて動画編集を行う人もスムーズにマニュアルを作れます。
動画マニュアルtebikiではマニュアルがクラウドに一括保存されるため、データが散逸しません。
検索性の高さも魅力で、ファイル名/タグ/説明文などからキーワード検索ができ、見たいマニュアルをすぐに探し出せるでしょう。フォルダ分けも可能なため、チームごとにマニュアルを格納するのも可能です。
通常、理解度を確認する場合は、テストや研修を行う必要があります。しかし、動画マニュアルtebikiでは、テスト機能もあるため、教育管理が可能です。
また、各スタッフのアクセス状況や閲覧時間の把握も可能。tebikiがどれくらい活用されて、どれくらいの学習効果を出せるのか一目瞭然でわかります。
動画マニュアルtebikiを導入し、わかりやすいマニュアルを作成/運用に成功している企業3社の事例をご紹介します。より多くの事例やサンプル動画を見たい方は、以下の記事もご覧ください。
▼関連記事▼
【業界別26社】動画マニュアルの事例とサンプルを多数ご紹介!参考ポイントや作り方も解説
工作機械、遠心力鋳造管、産業機械の製造販売を手がける新日本工機株式会社は、1898年創業の歴史ある企業です。人が育つ環境づくりを心がけ、仕事だけでなく仕事への姿勢も丁寧に指導していますが、作業が標準化されておらず、人によって品質がバラついてしまう課題がありました。
作業内容の標準化を目指して動画マニュアルtebikiを導入したところ、作成が簡単だからこそ1年で1,500本以上の動画マニュアルを作成。動画マニュアルによって、標準化に成功し、作業のバラつきが減り品質が安定しました。さらに、ベテランの技術やノウハウを動画によって可視化できたことで、技術継承にもつながっています。
▼tebiki導入インタビュー動画:新日本工機株式会社▼
もっと詳しく新日本工機株式会社の導入経緯や効果を見たい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。
▼関連記事▼
人が育つ環境づくりとして動画マニュアルtebikiを活用。技術の蓄積と作業品質の安定を実現。
サッポログループの商品輸配送を主軸として、さまざまな企業の配送を手がけるサッポログループ物流株式会社では、紙のマニュアルやOJT指導を中心に人材育成を行っていました。しかし、物流特有の高度で明文化しづらい「動きが伴う業務」を紙マニュアルでは効率的に伝承できず、業務の属人化や業務品質のバラつきが発生していました。
複数のツールを並行運用した結果、操作性がシンプルでわかりやすく、マニュアル運用に必要な機能が揃っている動画マニュアルtebikiを導入。作成に2〜3時間かかる紙マニュアルが、tebikiなら30分前後と作成にかかる時間を以前の3割ほどまで削減しました。現在では、部門横断的にtebikiの利用が広まり、業務ノウハウを可視化して蓄積し共有する体制が構築され、属人化の解消や生産性向上につながっています。
サッポログループ物流株式会社の導入当時のエピソードなどをより詳しく見たい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。
▼関連記事▼
物流現場の動画マニュアル導入事例│物流現場のノウハウを動画で可視化!ロジスティクスの生産性を上げるため人材教育の課題に挑む
オリジナルハンバーグやステーキの専門店を12店舗展開する株式会社ハングリータイガーは、炭火で焼く肉と高品質なサービスに定評があります。高品質なサービス提供の維持には、紙のマニュアルやOJTでは難しい点が多いため、動画マニュアルの内製化に取り組んだものの、編集には一定のスキルが必要であり、動画の共有手段が限られるため困難を抱えていました。
そこで、動画編集が簡単にできるツールを比較検討し、動画マニュアルtebikiを導入。ITスキルがなくても動画編集が簡単にでき、細かい所作も伝えられるため、マニュアル作成工数削減/高品質サービス維持にもつながりました。現在は新人教育に活用していますが、安全教育やベテラン社員の技術伝承にも活用していきたいと考えているそうです。
株式会社ハングリータイガーのより詳しい事例を読みたい方は、以下のインタビュー記事をご覧ください。
▼関連記事▼
マニュアル作成やOJTの工数削減!接客の所作や業務の動きを伝えるには動画がベスト
どちらのツールもマニュアル作成が可能です。作りたいマニュアルの種類によって使い分けると良いでしょう。
Excelは表計算のためのソフトであるため、表/グラフ/関数などが頻出する内容のマニュアルに適していると言えます。ただ、ファイル内に複数のシートを入れる構造のため、シートが多いと読み手が見落とす恐れがあり、注意が必要です。
Excelでマニュアルを作成する際は、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
PowerPointはプレゼンテーションのためのソフトであり、文章の他に図表・イラスト・写真なども入れられるため、比較的どのようなマニュアルにも適していると言えます。余白を意識したレイアウトも作りやすいです。
PowerPointでは、レイアウトテンプレートを活用すると規則性が生まれ、見やすい上に効率的に作成できます。印刷を想定する場合は、スライドの背景を凝ったデザインにするとインクが大量に必要になります。無地の白にとどめておくと良いでしょう。
PowerPointであれば、使い方によって簡易的な動画マニュアルを作成することも可能です。動画マニュアルを作る方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
▼関連記事▼
・パワーポイントを活用して動画マニュアルを作成する方法と手順【Windows版】
・パワーポイントを活用して動画マニュアルを作成する方法と手順【Mac版】
わかりやすいマニュアルを作るのが上手な人は、次のような特徴があります。
業務経験がさほど長くなくても、こういった特徴がある人にマニュアル作成の担当者や責任者をお願いすると円滑に進むでしょう。
今回は、わかりやすいマニュアルを作るためのポイントや手順をご紹介しました。責任者や計画をきちんと決めて、マニュアルに盛り込む要点を考えておくことや、文字数は抑え目に、最初から完璧なマニュアルを作ろうとしない、などのポイントがあります。また、構成やレイアウトについてもヒントをご紹介しているので参考にしてみてください。
また、文字中心のマニュアルよりも動画のマニュアルのほうが情報量は多く、短時間でわかりやすく伝えられます。本記事でもご紹介しましたが、動画マニュアルの作成なら「tebiki」がおすすめです。もっと詳しい機能を知りたい方は、こちらの資料をご覧ください。